『鬼と、罪深き花畜』-23
後日教えてもらったことですが、僕のパパは女装癖のあるバイだったんだそうです。それがママとパパの離婚原因だったんです。パパとは7年以上も会ってませんが、僕にはきっとパパの血が流れているんです。
「ママはあなたのこと、しっかり見てるわよ、ミツル……あなたを女の子に産んであげられなかったママが悪いのね」
ママはそう言って、また大粒の涙を流していました。
「ごめんなさい……でも、これがミツルの本当の姿なの」
僕は本当の自分を大好きなママに理解して欲しかったんです。母子二人きりで、べったりの生活です。ママに隠しきれるはずがないんです。
「あなたは、子供の頃から女の子の洋服をねだることが多かったの。いくら叱ってもママの下着を穿いたりして喜んでたから……」
僕の覚えていない幼い頃のことをママは打ち明けてくれました。僕は昔からずっと素敵なママに憧れていて、ママのような女の子になりたかったみたいです。
「……ミツル、こちらにいらっしゃい」
ママはラブドールに化身している僕を膝の上に乗せて、Tバックの剥き出しになっているお尻をペンペンしてくれたんです。
「こ、これがママの気持ちよ。分かってね」
虫一匹も殺せないようなママが僕のお尻を叩いてくれたんです。
「ああっ、ママ……もっとわたしのことを叱ってっ」
「ええ。ママの気が済むまで、こんなあなたを叩くわ」
そう言って、ママは僕の化身を仕方なく受け入れてくれたのです。
ママに秘密を打ち明けた翌日から、学校から帰ると身も心も女の子になれました。ママは僕の変身願望を渋々受け入れてくれたんです。学校には女装で行く訳にいきませんが、オシャレなレースのショーツとガーターストッキングをズボンの下に穿いていました。帰宅するとすぐにいろんなウィグを被って、ミニスカートに着替えます。
数日後には女の子の格好をしてママと外出をするようになりました。一緒にスーパーマーケットの専門ショップを回って洋服と下着、ウィグ、バッグなどを買い漁った時は、息苦しくなるほど胸が踊っていました。ペチャンコの胸と股間の性器だけが男の名残りで、それ以外は可愛い女の子そのものです。
「ミツルは可愛い過ぎて、かえって変に思われるくらいよ」
ママはJKのコスプレの制服姿の僕を見て、微笑みながら言ってくれるんです。チェック柄のベージュのミニに白のブラウスです。スカートと同じチェックのリボンを胸元に飾っていました。短めのレイヤーの髪が凄く僕の愛らしい貌に似合うんです。
「ママの娘だもん。可愛くて当然でしょ」
「こんなことをしていていいのか、ママは悩んじゃうけど……仕方ないのね?」
「わたしは今がすっごく幸せなの。ごめんね、ママ」
僕はママの腕に腕を絡ませて歩く女の子です。こんな幸せなウキウキする気分なんて他にありません。
オシャレをした美少女としてみんなからジロジロと見られますが、男の身体だなんて誰にも疑われたりしません。ショップの店員さんだって、僕を完全に女の子として応対してくれていました。女子のトイレに入る時だけはあまりにも気恥ずかしくて、ママに一緒に付いてきてもらったのですが。
黒岩先生と約束している土曜日。
僕は初めて女の子の姿をして先生の家に行けると思ってワクワクしていました。ママに先生のことをすべて打ち明けた訳ではありません。絵のモデルとして僕に女の子の格好をさせてくれたり、縄で縛ったりする変態の美術教師だと言ってあったんです。
ところが、ママがどうしても一緒に行くと言い出したんです。僕を女の子に化身させた先生に会って、母親としてどうしてもケリをつけたいことがあると言うんです。
僕はすごく嫌な予感がして一緒に行くことに反対したんですが、ママの決意は変わらなかったんです。