第十八章 キス(裕君)-1
第十八章 キス(裕君)
「んっ・・・ふぅ・・・・んっ・・・」
熱く、甘い息が絡みついてくる。
「んっ・・・ふ・・ん・・・」
柔らかい舌と共に僕も味わっていた。
(ああ・・お、俺・・・)
キスしている。
今日、会ったばかりの人と。
薄っすらと目を開けると、美しい眉毛の下でまつ毛が揺れていた。
桜さんの気品ある顔はかおりさんとも違い、別の興奮を呼んでくる。
遠慮がちで大人しい人柄は、男の欲望を刺激する。
蹂躙したい誘惑が僕を過激にさせる。
「あふぅ・・んんんっ・・・んぐうぅ・・・」
舌をこじ入れると同時に、激しく唾液を吸い取っていく。
甘いネバネバした味が口中に広がり、ゴクリと飲み込んだ。
桜さんも徐々に大胆になっていき、自分からも僕の唇を吸いつくように押し付けてくる。
「あはぁ・・わ、若槻さん・・・」
僕の名を呼んでくれたことで、興奮が一層高まった。
「ああ・・さ、桜さん・・・」
僕もあの人の名を呼び、更に激しく舌を絡ませていく。
その姿をカメラがズームアップして捕らえていた。
ピチャピチャと音をたて、唇を貪りあう姿はまるで恋人同士のようだ。