ヨウコと共に……-4
「ドン、抱いて……」
「あんな目に遭ったんだ、今日は止めとこう」
「ううん、あんなことがあったからこそドンのセックスで忘れさせて欲しいんだ」
「そうなのか?」
「あたし、いつでもそうなんだ、お客さんに抱かれるとなんだか自分が自分じゃなくなっちゃったみたいな気持ちになる、だけどドンに抱かれると元に戻れるみたいな……」
「リセットできるってわけか……」
「そういうことなのかな……」
「ヨウコ」
「何?」
「明日からはもう客を取らないで良いぞ」
「どういうこと? あたしはもういらないの? ここから出て行かなくちゃいけない?」
「そうじゃない、俺の専属になってくれと言ってるんだ」
「ドンの……専属?」
「俺だけの女になってくれるか?って言ってるんだ 贅沢はさせてやれないかもしれないがねぐらと飯くらいは保証してやれる」
「……それだけじゃ嫌だよ」
「嫌か?」
「毎日抱いてくれないと……」
「ヨウコは俺に覆いかぶさるように唇を重ねて来た……。
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この国では戸籍などあってないようなもの、富裕層や中間層ならいざ知らず、貧困層の戸籍など実態とはかけ離れてしまっていてなんの信憑性もなくなっている。
ヨウコにしても孤児院から逃げ出した時点で失踪者扱いになっているはず、そして10歳の女の子が今どうしているかなど調べようがないし、わざわざ調べる気もないだろう。
その意味ではヨウコはもうこの世にいないと見做されているんじゃないかと思う。
だが、どっこいヨウコはちゃんと生きている。
戸籍上どうなっているかなんて俺にもヨウコにもどうでもいいことだ、俺にはヨウコが必要だしヨウコにも俺が必要だ、愛し合い、支え合って生きている。
「あの時、納屋の前でドンに出会えて良かった」
ヨウコはしばしばそう言ってくれる、だがそれは俺にとっても同じだ、その時ヨウコが俺に声をかけて来てくれて良かった、そう思う。
神が引き合わせてくれたなどと迷い事を言うつもりはない、出会いは偶然だったとしても、ヨウコは俺にとって必要な娘に『なった』んだ、その心と身体で俺を魅了して。
ユニットバスからシャワーを使う音が聞こえている。
音が止めばヨウコは俺が待つベッドに飛び込んで来てくれるだろう、そして俺たちは愛し合う、いつものように……。
この暮らしがいつまで続くかなんてわからない、年齢差25歳、いつかヨウコは俺の元から去って行くかもしれない。
だが、俺にとってヨウコは一生忘れることのできない女、既にそういう存在であることは間違いない。
俺はそれでいい、ヨウコと出会い、愛し合えた。
俺の一生はそれだけで充分に価値があるものになったから……。