第十四章 自己紹介-9
「2組って・・・
どの夫婦がペアになるんですか・・・?」
旦那様の新藤さんが、オズオズと質問した。
瞬間、藤本さんの目が光った気がした。
「今回は、夫婦のペアではありません・・・」
隣りでかおりさんが表情を崩さないよう、口元を引き締めている。
「今回に限り、若槻さん御夫婦の新入歓迎会とさせていただきます」
「歓迎会ぃ・・・?」
秋生が声を裏返して聞いた。
「そう・・歓迎会です・・・」
藤本さんがもったいぶるように、言葉をためる。
「若槻さん御夫婦を私達3組で、接待するのです」
【えぇっー・・・?】
かおりさんを除く6人の声がそろった。
「せ、接待って・・・?」
不安そうな表情を見せる映見に代わって、僕が質問した。
「文字通り接待・・・
裕太さんと映見さんを私達で悦ばせるのですよ」
隣りに座るかおりさんが、クスっと噴き出してしまった。
「フフッ・・フフフフ・・・」
肩を震わせ、笑いをこらえている。
やれやれといった表情で、藤本さんが話を続ける。
「こちらのコテージでは、映見さんに残っていただき、私、新藤さん、椎名さんの御主人の3人も残ります」
極めて冷静を装っているが藤本さんも興奮しているのか、膝がかすかにふるえている。