続・花ホテル〜first night〜-1
【はじめに】
本作品は平岩弓枝著『花ホテル』の2次創作です。本作ラストシーン以降の流れを勝手に想像(妄想)しながらつづった後日談的な作品(駄作)です。
その為、(一部ネタバレを含みますので)、原作はこれから或いは原作を読み終えられた方で原作のイメージを大事にしたい方はご遠慮ください。
また本作を読まれる方も、可能なら事前に原作を読んでおけば(特に最終章以降)本作はすんなり入ってくると思います。
無論本作は官能小説扱いなので、本作だけでも読み進められるとは思いますが。
以上、長くなりましたが前置き終わります。
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―――――佐々木が杏子を抱き寄せてからどれだけの時間が経ったのだろう。
二人きりだけの部屋の中では、室外の喧騒も届かない。或いは気を効かせたせいだろうか。
壁時計が規則正しく時を刻む音に混じって互いの息遣いだけが微かに聞こえた。
だから佐々木がおもむろに杏子の両肩に両手を添えて自らの胸から彼女の身体を離した時、杏子が佐々木を見つめてくる瞳には明らかに戸惑いと若干の恨めしさが浮かんでいたのも無理はなかった。
「三樹さん・・・・・?」
「一度、下に戻ろうかと思います。従業員に事情を話しておかなければ」
「・・・・そうですね」
「我々はともかく、従業員にはこの後の事を考えさせた上で次の仕事の道筋をつけてあげなければ。それに・・・・・」
「それに・・・・・?」
「花ホテルを閉じるにしても、彼等の力は必要ですから・・・・・」
佐々木の言葉に、杏子もコクリと頷いた。
「私も行きます。・・・・いえ、寧ろオーナーとして、それは私がやらなければいけない義務ですから」
「そうですね、確かに・・・」
「少し化粧を直させて下さい・・・そうね、30分後にはロビーに皆を集めておいてくれれば」
「分かりました」