続・花ホテル〜first night〜-7
そして佐々木の視線が自分を見つめてくる杏子の全身を捉え重なった時、
佐々木には杏子の寝室がやけに広々としたものに感じられた。
これまでも食事や打ち合わせの為に何度も訪れており、その時には1度も感じたことのない感覚だった。
それが部屋のベットの傍らに立っている杏子自身の存在がそのように感じさせているのは明らかだった。
シャワーを浴び終えた事を示す髪の湿り具合。
日本人離れした細い手足とはアンバランスな肉感ある乳房と尻を包み込むようにして身に纏うタオル生地の白色バスローブ。
絨毯を直接踏みしめる素足。
そして潤みを帯びて佐々木を見つめてくる杏子の瞳。
口許は緊張感を隠そうとするかのように唇をきゅっとしめている。
目の前に立つ女性が自分と同年代の熟女であることを忘れそうになるくらいの儚さがそこにあった。
「・・・・・・・・・」
杏子から視線を外すことなく、佐々木は音もなく歩を進める。
杏子を見下ろす形で互いの距離を詰めた時、
佐々木は意識することなく左手を杏子の右肩に添えていた。
バスローブ越しに杏子の身体がピクリと動くのが分かった。