Another.tale2 女王蜂-1
助手席の彼女が、ハイヒールを脱ぎ、黒に金をあしらったペディキュアの足で音楽を止める。「うるさい」
「あなたがつけてくれたんだよ」 ため息をつく。
「暇なんだったら、君のをしごいてあげる」彼女が眉をしかめて僕の竿をズボンの上から握ってくる。
こすりながら、「初めてデートに連れて来てくれたんですものね」
「そうだね」僕はどこへ行くのかも知らない。この車で乗り付けて、運転しろと言われただけだ。
そして今、ハンドルから手も離せずに、状況に流されている。≪いつか操作を誤るぞ≫
この人は野生の爆弾だ。へたにやめろと言ったら、暴れかねない。
‥それに、気持ちはいい。
「君、つまんないわ。せっかくさわってあげてるのに」彼女は怒って、覆いかぶさるとチャックを開け、大きくなった竿をのぞき込んだ。
「いいね、生でさわってよ」話しを合わせる。やめろと言ったらもっとされるだろう。
「いやよ」案の定、反発する。
起き上がり、そっぽを向くと景色を眺めた。
この世から自動車事故が一件減ったと思った。
しばらくして、「もう、しかたのないひと」僕の竿を取り出すと、数回しごいた。
それで飽きたのか、「もういいでしょ」窓を開けるとシートベルトを外した。「私からしてあげるなんて、ないのよ。本当に」
たしかに、へたに男の方から、『して』なんて言ったら、ピンヒールで蹴られそうだ。
顔を、首まで車外に出すと、足をシートに上げて尻をこっちに突き出してきた。
これは、わき見運転をしてしまう景色だ。
黄色いミニスカートから黒いシルクのショーツがまる見えになる。
『女王蜂』とひそかに呼んでいる由縁だ。
からし色のジャケットもその下の黒いドレスシャツも、スズメ蜂そのままだ。おしりを振って、催促している、≪それとも毒針を出す準備?≫
僕はハンドルから片手を離し、おしりを撫でてやる。薄い布はまるで地肌だった。
≪どうかこれが正解でありますように≫
彼女はおしりを振った。「気持ちいい すごい風ね」ショートの黒髪が千切れそうなほどにはためき、顔を打っている。
僕はショーツの縁をたどって、ふとももを奥までこすってやる。
彼女は鼻歌を歌い始めた。
高速道路を時速120キロで走り続ける。どこまで行くのかは知らない。
彼女が片手をうしろに持ってきて、尻のふくらみの間へ手を当てた。
彼女が何か言っているが、風で聞き取れない。
そこにあるショーツの溝の中へ中指をそわせてやった。
少し温かく、ほのかに湿っている。
彼女が何か言っているが、やはりわからない。
ただ歌っているのかもしれなかった。
ほったらかしにされた僕の竿は限界を迎えそうだ。
彼女がしばらくして振り返る。「ねえ、車停めて。 すぐに」
「ここ、高速道路だよ」そう言いながら、広めの路側帯を探した。
道の端に止めると、シートを一番後ろまで下げてという。
外をのぞいていた彼女がそのままの体勢で後ろに下がってきた。「入れさせてあげようか」
その尻を僕の上に乗せた。
竿が彼女のショーツに押しつぶされる。彼女が腰を揺すり、ほえた。
体をくの字に曲げたまま、背もたれとダッシュボードに手をかけ、左右に揺すり、前後にスライドさせる。
何台もの車が横を通り過ぎて行った。遠くからはセックスしているとしか見えないだろう。
団体のバスも通る。しかし彼女はそんなことを気にもしていなかった。
腰を振り続け、「君はよくないの。私がいや?」怒り出す。
「とてもいいよ」そんなごまかしでは、機嫌は良くならない。
腰を回し、くねらせて、息を荒げて擦り付ける。
しばらくして、「やめた」起き上がった。
助手席に浅く座るとダッシュボードに足をいっぱいに広げて乗せる。
彼女の日に焼けた体は、見える限りどこにもむらがない。
外を見ているが、自分だけひそかにイッたのかもしれない。
ショーツを陽にかざして、「行って」