Another.tale2 女王蜂-2
すぐに発車する。だれかが故障車か、それとも、なんだかわからないものだと思って、通報しているかもしれない。
こんな格好で面倒はごめんだ。
追い越す車が、その途中でスピードを合わせてくる。
彼女の股間を見て。口笛を吹いて喜んでいる。
「ファンができたようだけど、あれじゃ、危険だ。ぶつけられるのもごめんだよ」
彼女は「ううん」と少し起き上がると、服を持ち上げた。
相手の車に乳房をつまんで突きつける。
乳首が敵を狙う。
「ドッカァンン」大砲の真似をした。
相手の車は被弾したかのように揺れ、タイヤのきしむ音が聞こえてきた。
「だから、ごめんだって」アクセルを踏み込み、いっきに加速する。
V6、3.5Lエンジンが吠え、メーターは250を刻む。横の車はバックミラーから消えていった。
シートに押さえつけられた彼女が大笑いする。
「事故でも起こったらどうするんだい、こまったひとだな」乳房をつまんでやる。
「ガウッ」噛みついてきた。「分かった、君、入れたかったのね」
「ところでどこへ行くの」相手にしない。
「そうね、戻る」
高速を降りると車を止めた。
「どうしたの、そのまま運転してよ」
「あなたの車なんだから」
「何、他の人におっぱい見せたくらいのことで怒ってるの」
「いいや、見せて自慢できるほど綺麗な胸ではあるよ」
「怒らないでよ、反省してあげるから。君の運転がいいの。戻って、行くところがあるの」
彼女が乱れた服を直して座りなおす。「出して」
高速の入り口へ向かった。その途中で、「女の子がいるわ」
遠く、道のまんなかに少女が立っていた。こちらに気が付いていない。
「まっすぐ行って」 腕につかまってくる。「ひいちゃって」
「だけど」
「お願い、行って」
車は加速して、まっすぐ突っ込んでいく。
「ほんとに?」
少女がふりむいた。驚きで動けないようだ。
ララは腕を強く握り、「アアア」荒くなった息をもらす。
少女がドンとぶつかっ‥ た、衝撃がない。 その姿もなかった。
「なんだ。君、わかってたの?」ララが悔しそうに言う。
「わかるわけない。惑わしだったのかい」本当は、そうなのはわかっていた。
「もう、今度は、本当にいる時に、いるように惑わしてやるから」それでも言う通りにしてくれたと、ちょっと機嫌は良くなった。