第七章 懺悔-2
「さて・・・」
かおりさんが真面目な表情で、声をかけてくれた。
「・・・」
俯く私は何も言うことができなかった。
かおりさんは私の隣りに座り、そっと肩を抱いてくれた。
「悩みがあるようね・・・」
私の頭に頬を預けるように、もたれかけてくる。
「よかったら、聞かせてくれる・・・?」
藤本さんは何も言わずに、ワイングラスを傾けている。
「わ、わたし・・・」
消え入るような声とともに、私の両目から涙があふれ出していった。
「うぅ・・ううぅっー・・・」
そっと、抱き寄せるかおりさんの胸にぶつけるように顔をうずめた。
どれほどの時間がすぎたであろう。
藤本さんのワイングラスが空になるころ。
私はポツリポツリと、語りだした。
「レイプ・・されたんです・・・」
とても口に出して言えないことを、それでも、無理に言葉をつないでいった。
「最初は・・・無理やり・・脅されて・・・」
泣きはらした瞳から、ジワッと涙がしみだしてくるのが分かった。
「でも・・でもぉ・・・」
乾いていたはずの頬に、再び涙が流れていく。
もう、枯れるほど泣いたのに。
「か、感じて・・・感じてしまった・・の・・・」
最後まで言えず、嗚咽があふれていった。