第六章 再会-1
第六章 再会
「いやー、よくきてくれました。
又、お会いできて嬉しいですよ」
藤本さんが手を差し伸べると、僕は少し照れながら握手をした。
「お久しぶりです、藤本さん・・・」
その手が若干、汗ばんでいたと感じたのは錯覚だろうか。
いや、相手ではなく、僕の方が緊張していたせいだろう。
だって、そうじゃないか?
この人は、僕の妻、映見とセックスしたのだから。
チラリと横にいる妻の姿を見ると、俯き加減にしている。
さすがに、目を合わせるのが恥ずかしいのだろうか。
藤本さんの隣りで妖しい笑みを浮かべている、かおりさんとは対照的だ。
只、気になるのはここ数日、映見が沈んだように表情が暗かった。
問いただしても、口をつぐんでしまう。
それに、意外だったのは今回の訪問を映見が承諾したことだった。
あの日の「初めてのスワッピング体験」から、三か月が過ぎていた。
『なぁ、いいだろう?そろそろ・・・』
『だって・・・』
『大丈夫だって・・・・。頼むよぉ』
『映見だって凄く、ノリノリだったじゃん』
『・・・・・』
いくら説得しても、映見はかたくなに拒んでいた。
これ以上、のめり込むのが怖いのだろう。
妻の想いは変わりそうにもなく、殆どあきらめかけていたんだ。