第六章 再会-5
「実は、僕達もなんです・・・」
映見の顔を伺いながら、オズオズと切り出す。
「あの日から、ずっと・・・
その・・思い出しながら・・・」
「ゆっ・・裕君・・・」
笑みが僕のシャツを引っ張る。
「あら、だめよぉ・・・
ねっ・・それから・・・?」
かおりさんが、催促するのを藤本さんも嬉しそうに聞いている。
「僕が、かおりさんっ・・・
かおりさんって・・・」
少し、卑猥なポーズで。
「映見も・・藤本さんっ・・・」
「だ、だめぇー・・・」
慌てて手の平で僕の口をふさぐ妻が、泣きそうな顔になっている。
「そ、その辺でやめましょう・・・。
映見さんが困ってらっしゃるから」
藤本さんが優しい口調でフォローするのを、横目で眺めるかおりさんは嬉しそうだ。
「じゃあ・・私は夕食の用意をするわ・・・」
立ち上がる声に、映見が反射的に言った。
「わ、私も手伝いますっ・・・」
この場にいる恥ずかしさから逃げるように。
「嬉しいっ・・・
二人だと、料理も楽しくなるわ」
かおりさんは映見の手をとると、家の中に入っていった。