第二章 あらがい-4
(あぁ・・祐君・・・・)
夫の名前を心に浮かべるしか、今の映見にはできない。
「ほら、交代だ・・・」
茶髪が顔を引き寄せる。
「綺麗な顔をしてるぜ・・・」
わざと間をおいて、女の目が開くのを待っている。
「あぁ・・・」
濡れたまつ毛をまたたかせ、映見は操られるように男を見返している。
「そうだ・・いい顔だ・・・キスしようぜ・・・」
優しい囁きが、不条理さを増す。
まるで恋人をあやすように、短いキスを交えながら粘りつく愛撫を続けていく。
(いや・・・わたし・・わたし・・・)
キスしている。
レイプする男達と。
「んんっ・・・ふぅ・・ん・・・・」
重なり合った唇は、互いの舌をさぐっている。
(あぁ・・だ、だめぇ・・・)
自分から絡ませてしまう。
(祐君・・祐君・・・)
愛する夫の顔を思い浮かべ、理性を取り戻そうとするのだが、薄れた意識が映像を消してしまう。