第一章 不条理なプロローグ(画像付)-8
『良い子ね、可愛い・・・・。』
女は嬉しそうに顔を近づけると、頬にキスしてくれた。
『見て・・ウチの人も喜んでいるわ・・・』
見上げると優しい顔が微笑んでいた。
《ああ・・そうだ・・・》
見知らぬ男の微笑みに、夫ではないことにようやく気づいたのだった。
『ああ、凄く上手になりましたよ・・・』
低い声が記憶を呼び覚ます。
《す、凄い・・わたし・・・》
フェラチオしている。
ひざまずいて、この人のペニスを咥えている。
今日、初めて会ったばかりなのに。
『さあ、奥さん・・・』
男の人、私の手を引きながら裕君がいるソファーに座った。
『え、映見・・・』
『失礼します・・・』
目を丸くしている夫に会釈すると、映見を前に跪かせる。
『奥様にもご理解頂けました。これから一緒にスワッピングを楽しみましょう』
『本当?凄いわっ・・・』
裕太の顔を抱きしめながら、女は嬉しそうな声を出した。
『じゃあ、二人で感じさせてあげましょうよ』
映見の隣に座りなおして囁いた。
『ンフフフ・・・一杯、教えてあげる』
熱い息で耳元かかり、何だか変な気分になってしまった。
さっきまで殺してやりたい位、憎んでいた女だった。
愛する夫を奪って、あんなイヤラシイ事をしていたのに。
それが隣合わせに座り、互いの夫にフェラチオをしようというのだ。
何という不条理な光景だろう。
同伴喫茶にはいるのでさえ嫌がっていた自分が、まさかスワッピングを始めるなんて。