第一章 不条理なプロローグ(画像付)-14
「よしっ・・・」
元気付ける声と共に、バッグを肩にかけなおした。
それでも扉を開ける時は慎重に隙間を作りながら、外を見渡した。
ロータリーは相変わらず一台の車も無く、人影も見当たらなかった。
(良かった・・・)
二人組みの姿も見えず、映見はホッと息をついた。
まさかとは思うが、用心に越したことは無い。
レバーを掴んだままの両手をようやく離し、身体を外に滑り込ませた。
「キャッ・・・」
だが、その瞬間、大きな影が覆いかぶさるように視界を塞いだ。
そのまま強い力で、扉の中に押し込まれてしまったのだ。
(な、何っ・・・?)
ガチャンという思い金属音と共に、視界に飛び込んできたのはあの二人の顔だった。
「ヘッ・・・」
吐き出した笑いは辛抱を重ねた時間の分、くぐもった音で搾り出された。
「やっと、出てきてくれたぜ・・・」
「まったく・・・
いつまで待たされるかとヤキモキしたぜ」
(そ、そんな・・・)
冷たい汗が再び流れる。
「ヒョー、近くで見ると、
すっげぇ、可愛いじゃん」
「楽しもうぜっ・・・・お姉さん?」
ニヤついた男たちの表情が、映見の顔をはさむように近づいてくる。
膝がガクガクと震えている。