第一章 不条理なプロローグ(画像付)-13
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「でも、やっぱり、だめっ・・・」
堂々巡りする妄想をかき消そうと、わざと大きな声を出した。
「駄目だからね、絶対っ・・・」
今度こそ、裕太にキッパリと言わなければ。
鏡の自分は、昔の優等生だった映見に戻っている。
今の擬似スワッピングでも十分、興奮するではないか。
そろそろ子供も作りたいし、正常な夫婦生活をしなければ。
トラックでも通り過ぎたのだろうか、大きなクラクションの音に、映見は我に帰った。
どのくらい時がたっただろうか。
腕時計を見ると、2時を過ぎていた。
トイレに入ってから、すくなくても30分以上は経過している筈だった。
「もう、大丈夫よね・・・?」
脳裏を掠める不安を打ち消すようにつぶやく。
「バカみたい・・・」
思わず漏らした自分の声に、フッと、笑みを漏らした。
「サスペンスドラマじゃあるまいし・・・」
わざと大き目の声を出していた。
「ふふっ・・・」
気持ちを切り替えたくて、白い歯をこぼした映見は、自分の笑顔を何通りか映している。