第一章 不条理なプロローグ(画像付)-12
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「でも、やっぱり怖い・・・」
現実に戻った鏡の中の自分の泣きそうな表情が、不安を象徴している。
藤本から再会の連絡を受けた裕太は、暫くは躊躇っていた様だったが、結局は映見を誘うことにしたのだ。
(藤本さん・・・)
会いたく無いと言えば、嘘になる。
いや、むしろ会いたかった。
『ああ、好きっ・・・
藤本さん・・ああああっー・・・』
連日の擬似スワッピングは、あの日の印象を更に増幅し、映見の心を捕らえて離さない。
『愛してるっ・・藤本さんっ・・・
ああ、いいっ・・凄く、いいぃ・・・』
(ど、どうしてぇ・・・・?
こんなに興奮するの?
気持いいのかしら?)
若くもハンサムでもない、中年の男に感じていた。
『素敵だ、奥さん・・・美しい・・・』
言葉が上手だったから?
『ふふふ・・こんなに感じて・・・』
愛撫が巧みだったから?
(わ、分らない・・・)
只、植え付けられた欲望は決して消える事ないだろう。