第二十五章 名刺-1 第二十五章 名刺 改札口を通り抜けポケットにしまおうとした僕は、定期入れを見ながら立ち止まった。 人とぶつからないよう壁際によると、カードケースにある一枚の名刺を取り出した。 藤本さんに貰ったものだ。 『気がむいたら御連絡下さい・・・』 それには彼が経営する病院の住所が記載されていた。 携帯電話の番号も。 医者だとういうのは本当らしい。 僕の名刺は渡していない。