スナイパードール-12
一度抜きます。「これでおまえは」そして笑いながら、「わしのものだ」これでもかと突き入れては挿入感をたのしんでいます。
「さて、わしがおまえの中に流し込んだら、お前はもう逃れることができなくなる。わしだけと、したくて、したくてたまらなくなるのだ。
そのためには人でも殺す。試しにその女を殺させてやろう。
パツ パツ パツ 腹が当たります。
そしたらお前を幹部に取り立ててやってもいいぞ。お前の力でほかの女を奴隷に変えていくんだ」
「それってコーディネーターの仕事じゃないの」
「お前にさせてやる」蒸気機関のようにつき入れられます。
ヌン ヌン ヌン
男の長く伸びたうなり声が高音になっていきます。
もっともっと速くなっていきます。
ヌチヌチヌチ‥
「ヒィィッ」声が出てしまいます。それと同時に、私ははっきり見ました。
私は股をいっぱいに広げ、のけぞると、「いい、イキそう。 ‥イッちゃいそう」いい気になった男の眉間にまっすぐ人差し指をあてます。
男が満面の笑みで、発射しようと気を抜く寸前。
「滅」精一杯唱えます。これは男の破壊ではありません。救済です。
私を信じてくれたカーリーを救うことに、今まで犯され、むさぼられてきた怒りのすべてを変えます。
男の額に小さなキリで開けたほどの穴が開きました。
≪だめか、小さすぎる≫
ところが、その穴が周りの魔を吸い込んで、穴は大きくなっていきます。黒く男を覆っていた闇が消えていきました。
残った男は、細かく震えて、私の中に放出しました。
≪気持ち悪い≫ 私は転がって男から離れると、カーリーを見ます。
カーリーは倒れたまま、一心に呪文を唱えていました。
≪よかった、生きてた≫
カーリーは起き上がると、男の前へ行き、額にキスをします。
男は魔がぬけて、きれいになってもなお醜悪でした。
長いキスです。
やがて男から離れて私の所に来ました。
「あの人が好きだったの?」まあ、カーリーの好みがどんなのでも自由です。
「まさか。ありえません」サリーを着なおしています。 「ああやって、あの男の記憶を一部消しました。魔術に絡む部分です」
「あんなやつ死ねばいいのよ」
「わたくしといる間は、これだけは覚えておいてください。敗残者を踏みつけにしてはいけません。戦いが終われば、すべての負傷者は同胞として治療されるのです」
「同胞? ばかにしてるの」
「好きになれないような人でも、人です。わたくしたちは裁く者ではありません」
「魔は?」
「それは別です。人でも同胞でもありません」
「きれいごとだわ」
「そのことを忘れたら、わたくしたちは魔と何の違いもなくなってしまいますよ。さあ、服を着せてあげましょう。中に出されちゃいましたか?」
「少し」ブスッと言います。もうふくらはぎにまで垂れ下がっています。
「この城はもう潰れます。魔ももう出てこないでしょう」垂れたのを拭いてくれました。
≪中は?≫ きっと呪いのかかったやつだと思います。触るのが嫌だったのです。でもほっておかれました。≪そう、やっぱり自分でしろっていうことね≫
「私の呪文が利いたの?」
「あれでは魔は倒せません。わたくしが倒しました」
「どうやって」
「あなたの開けた穴に詰め込んだのです」
「じゃあ、役に立ったんじゃない」
「ええ、あれがなければわたくしたちは終わっていました」
「私、すごい」
「いいえ、本来はあなたがすべて倒すべきでした」
「あなたは何するの」
「わたくしはスポッターです」
「なによそれ」
「魔退治のためにいます。わたくしの仕事は魔の出現場所と時間を特定することと、スナイパーの安全を守ることです」
「へえ、そんなのがあるんだ。じゃあ、私の蛇も見つけられるの」
「詳しく聞かないとどうかわかりませんね」
「そうでしょうね」ちょっとためらいます。私の事をだれにも話したことはありません。話したくもありませんでした。言うにしても、もう少し猶予が欲しかったのです。
「ところであなたのスナイパーは?」
少しというより長く間があいて、「死にました。ここの魔を探る間のことでした」
「あなたが守るんじゃなかったの?」
顔を真っ赤にしています。
≪いけない、地雷をふんじゃったみたい≫ あわてて、 「私ってどう」
黙っています。
「どう?」
「どうって?」
「スナイパーになれる」
「なりたいのですか」
「教えて。だって、どうせ蛇退治をしなきゃいけないし、あなたは寂しそうだし、しばらく一緒にいてあげてもいいかなって」
「馬鹿なことはやめて、うちにお帰りなさい」
「帰る家はない、捨ててきた。いやならひとりで続けるだけ」
「死にますよ。わたくしはもうこんな嫌な気持ちになりたくありません」 私をにらみます。 「パートナーになりたいのなら厳しいですよ。いい加減なら先に切り捨てます。死なないようになるまでやりますよ」
「ナミよ」
「アタラナータと言います。アッチと呼んでください」
魔にそんなものがあるなら、震えあがることとなる、始まりの日でした。