女らしく【13】『潜入と調査と後編』-8
大和が下がった。
流れる様にオレが霊符を額に殴り付ける。
相手の動きが停止する。
そしてオレの背後から大和が飛び出し、相手の額を一刀の元に斬り捨てた。
相手は声を上げる事も出来ずに呆気なく消えて逝った。
「大和!」
パンッと大和の手を叩く。
「大丈夫か?」
「ああ…大丈夫だ…」
たった五日間なのに大和に会えたのが久しぶりの様な気がした。
「…どうやって此所に?」
「無理やり侵入したんだ」
警備員が来たんじゃないのか?
「仕方ないから殴り倒しちまった…」
大和はちょっと苦笑している。
「俺達はそろそろ帰るよ。流石に此所に泊まるわけにはいかないだろ」
「ああ…明日の朝、迎えに来てくれよ…」
もう少し話していたかったが、大和と晴樹は学園へと帰っていった。
「カッコいいなぁ…大和君…」
ギロリと夢を睨む。
「でも、私には無理かな…マコトと大和君の間には入れそうにない…」
残ったものを月が全てを照らし、全てを見ていた。実習が終わったのだ。
「お世話になりましたわ」
「楽しかったよ」
潜入6日目。全てを終え、ついにこの女学校を去る事になった。
「また連絡ちょうだいね!この女泣かせ♪」
校舎からは多くの生徒が涙を流している…
正直流されても困るのだが…
「ありがとうございましたマコトさん」
定守先輩がペコリと頭を垂れた。
先輩は数日前から添嗣先輩を疑っており、いろいろと調べていたそうだ。黒魔術の本もその一環らしい。
添嗣先輩の処遇は女学校の判断に任せるしかないようだ。
「マコトさん…素敵な彼がいらっしゃったのですね…それなのに私ったら…すみません」
ようやく先輩は諦めてくれた様だ。
「夢、先輩…昨日のことは秘密に…詳しいことは後々こっちから知らせるから…」
二人はコクリと頷いた。
「さあ、そろそろ行くぞマコト」
門の外で大和と晴樹が待っている。
「また…会おうね…」
夢が泣きそうな声で言った。いや…すでに泣いている。