女らしく【13】『潜入と調査と後編』-5
「ねえ！聞いたよマコト！定守先輩と付き合うことにしたんだって！？」
扉が勢いよく開き、勢いよく夢が飛び込んで来た…
「誰だよ、そんなこと言ってるのは！」
「みんな言ってるよ！マコトがようやく先輩を認めたって」
一日、先輩が無理やり手を握り続けていたのを数多くの生徒に見られていたからそう言われても仕方ないのかもしれない…でも…
「もうやだぁ…」
夜になると大和の顔が浮かぶ。
寂しい…
すごく寂しい…
切ない…
会いたいよ…
「大和に会いたい！大和に会いに行くぅ！！」
窓にしがみついて必死に外に出ようとする。
「落ち着きなさいマコト！」
「やだぁ！オレが好きなのは九条大和ただ一人なんだよお！大和大好きだ！大和ぉ会いたいよぉ！！」
「ここまで錯乱したマコトって面白いなあ♪」
そんな夢の言葉なんかもうどうでもいい！オレは大和に会いた…ん？
「ようやく落ち着いた？」
「どうしましたの？」
窓の下にある渡り廊下を見覚えのある人影が月光の中を歩いている。
今日一日、誤解の種を撒き続けた定守先輩だ。
「おかしくないか？こんな時間にあの真面目な先輩が出歩くなんて…」
「あっ…ほんとだ！黒魔術でもするんじゃない？」
確かにそう言っても不自然ではないし、それに先輩は一番の容疑者だ。
「奏！行くぞ！」
身を翻し、急いで先輩の後を追う。先輩が向かった先にあるのは屋上へと続く階段があるのみ。
「先に行って下さい！連絡をしたらすぐに行きますわ！」
「えっ！？何なに？どうしたの？」
よく分からない夢は戸惑いながら、ウロウロしている。
「分かった！じゃあ連絡と夢を頼んだ！！」
それだけを言って先に先輩の後を追う。
案の上、先輩は屋上へと歩いて行った。
その後を一定の距離を保ちながら、静かにつけていく。
ガチャリ…
先輩が静かに屋上への扉を開けた。
そこにはあのグネグネが不細工な人型を作って先輩を待っていた。
予想通りか…
生徒会長なら全生徒の名前も調べられるからな…
しかし、次の先輩の言葉は予想外だった。