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女らしく
【コメディ 恋愛小説】

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女らしく【13】『潜入と調査と後編』-2

「祈りを捧げましょう」

食事を目の前にして指と指を交互に絡ませ、軽く目を閉じる。

けどオレは薄目を開け、ちらっと横目で奏を見る。
神に祈る吸血鬼なんてなかなか見れるもんじゃないからな…

「祈りをやめて、いただきましょう」

朝食はパンとスープとサラダにハムなどが少々。
この女学院に潜入して5日目になる。そろそろ白米と味噌汁、ついでに海苔や納豆が欲しくなってきたところだ…

「ごちそうさん。早く食べてくれよ…」

朝食をさっさと終える。理由はもちろん…

『ああ…食べ方まで男らしい…』
『カッコいい…マコト様…』

ナドナド…好き勝手言い放題の上に四方八方からまとわりつく様な熱っぽい視線が突き刺さるから…

「奏…早く…」
「落ち着きなさい。もう少しですわ」

器用にナイフとフォークを使い、ハムを口に運ぶ。

「おはようございます。マコトさん」
「おはよう。蘆屋さん」

いつの間にかオレの背後に色白の生徒が二人立っていた。

「お、おはようございます…定守先輩…添嗣先輩…」

この女学院の生徒会長『定守白羽』先輩と副会長の『添嗣愛奈』先輩である。
奏はまだゆっくりと優雅に朝食を楽しんでいる…

「今日も凛々しいことで…あのお話は考えて下さいましたか?」
「いえ…あの…オレは………」

この病的に白い肌を持つ定守先輩には潜入二日目に告白をされた…
しかしオレにはそんな趣味は無いので丁寧かつ当たり障りの無い返答をしたはずなのに、未だオレに近付いてくる…

「まだ悩んでいらっしゃるのね…」

定守先輩の白魚というよりは白蛇のような手が頬を撫でる。

「…っ!」

ぞわりと背筋に嫌な感触が蠢く。

「会長、蘆屋さんが困ってますよ」

見兼ねたのか添嗣先輩が苦笑しながら定守先輩を窘める。

「いいお返事を待ってますよ♪」

最後に頬を一撫でし、口許に微笑を称えながら自分達の席へと帰っていく。

「…食われるかと思った…」

聞こえない距離になったのを確認して、独りごちる。

「あらら、会長に目をつけられちゃったの?」

夢がニコニコと楽しげにオレ達の席に来た。

「気をつけてね。先輩って執念深いっていうか、『狙った獲物は逃がさないぜ!』みたいなところあるからさ♪」

テメェ…人事だと思って…


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