怪談話CASE2:立花香織の場合-4
「コンバンワ!!!!!!」
しわがれ声ではなく、低い、低い男声。
「きゃぁぁぁぁ!!」
「コンバンワコンバンワコンバンワ!!」
お婆さんは叫びながら私の首に手を回す。
「くぁッ…あ゛…ぐぁぁ…だ…だず…け…」
「………。」
何も言わなくなりながらも、私の首に込める力をさらに強くする。
「うッッ…け、けいたッッ…!!あああ゛ッ!!」
「ん…あ、香織!?何してんだババァ!!離れろッ!!!」
「チッッ…」
お婆さんは怒りを込めて舌打ちすると、闇の中に消えていった。
「大丈夫か香織!?おい!?」
「あ…はぁ…うぁ…」
軽く酸欠状態で、喋るのはおろか考えることも出来なかった。
「ごめん…香織…。」
「んッ…はぁ…、だ、大丈夫だけど、なんなのアレ…?」
「鬼のような顔したお婆さん…。と、とりあえず寝な?俺が見張ってるから。」
「あ、ありがとう…。」
不安と命の危機から逃れた私は、一気に疲労間に襲われ寝てしまった。
「…い、起きろ〜。」
声の主は敬太だった。
「…ん、おはよう…。」
敬太は目の下にクマができ、元気がなかった。
「だ…大丈夫?見張ってくれてありがとう…。」
「ん〜会社行ってくるよ〜。」
「あ、行ってらっしゃい」
その日から、お婆さんは姿を現すことは無くなり、平和な日々が訪れていた。