怪談話CASE2:立花香織の場合-3
「ただいま…。」
「お帰りぃー。サラダサラダ〜。」
家に帰ると、仕事から帰った敬太が待っていた。
それと同時に不安と悲しみが込み上げて来た。
「ふぇッッ…け、敬太ぁ〜」
「ぬぉ!?ど、どうした?」
私は敬太に有りのままを話した。
いつもあいさつしてくるお婆さん。そのお婆さんは実在しないという。
でも幻覚じゃないのは確実。
「ん〜……、どうしようもないし、とりあえず毎日普通に過ごそう?」
「それしかなさそうだね…。」
午前3時。
「ん…ん…?」
あの後妙に開き直った私は、敬太に励まされつつも深い眠りについたのだった。
何故今起きたのか、というと、電話が夜中にも関わらず鳴り響いたからだった。
「何よこんな時間に…!もしもし!?」
「…こんばんは」
「………え?」
受話器から聞こえたのは、しわがれたお婆さんの声。
「け、敬太!?起きてッ!!ねぇッ!!」
「ん……。」
「ねぇ、起きてよ!!」
起きる様子が無い。
「…こんばんは!!!」
「ひっ…」
まだまだ受話器から聞こえるその声は、だんだん大きくなっていく。
堪え切れなくなった私は、電話線を思いっきり引き抜いた。
はずだった。
「…こんばんは。」
「…え……?」
受話器からは聞こえない。
でも耳に入ってくる。落ち着いて耳を済ます。
「…こんばんは!!」
「…〜ッッ!!」
後ろだ。お婆さんは後ろにいる。
どうしてこの家に?どうやってこの家に?
色々と考えたが、もう遅い。後ろに相手はいる。