第十三章 決心-3
「ああ・・あ、ああ・・・」
むず痒い感触が何かを求めさせている。
(ど、どうして・・・?)
こうなってしまったのかしら。
痺れた思考の中で、私は何度も自分に問いただしていた。
私は、こんなにも淫乱でいやらしい女だったのだろうか。
「貴方は・・天使だ・・・」
男の囁きが救いの手を差し伸べる。
(そ、そう・・・)
低い声が私の気持ちを落ち着かせ、安心して愛撫に浸らせてくれる。
私の髪を撫でる優しい仕草はずっと変わらない。
そう、この人はずっと囁いてくれる。
私をほめてくれる。
女は言葉に弱い。
改めてそう、思ったんです。
「好きだ・・・愛している・・・」
「あっ・・・」
熱い囁きに、私はジュンとなってしまう。
夫の裕君でさえ、この頃言ってはくれない甘いフレーズ。
今、この人に不思議な愛情が芽生えている。
夫に裏切られ、置き去りにされた心が温もりを欲していた。
愛の告白が何倍もの官能を運んでくるんです。