第十一章 裏切り-6
(わ、わたし・・・)
どうしてしまったの?
自分の態度に戸惑ってしまう。
真剣ですまなそうな表情が、とても紳士的に思えて。
信じられない事に私、否定もしないで男の顔を見ていたんです。
「有り難う・・・」
男は嬉しそうに顔を綻ばせた。
身構えていた緊張感が完全にはぐらかされて、力が入らない。
肩を引き寄せられた。
「キャッ・・・」
小さく声を出したが、私は抵抗もせず身体を預けた。
「有り難う・・・」
男はもう一度呟くと、私を包むように更に深く抱き寄せる。
そのままジッと動こうとはしない。
「んふっ・・・あはぁ・・んん・・・」
女の荒い息遣いが聞こえる。
「ああっー・・・おあっ・・い、いい・・・」
私の夫を犯している。
男の腕の中で残酷なショーを見ている。