第十一章 裏切り-5
(この人・・・)
ふと思った。
「当然、あなたにとって許されざる事です。
でも・・・」
(裸なのに・・・)
「嫉妬と共に妙に、
熱い気持ちが沸き上がってきませんか?」
不思議と、いやらしい感じがしない。
「私達夫婦は、
これで倦怠期を切り抜けたのです」
(そう・・・まるで・・・)
「極たまに、こうして刺激を求める私達は、何時も新鮮な気持ちで互いを愛し合っていけるのです」
大学の授業を聞いているみたい。
私を説得しているつもりなのかしら。
「勿論、奥様には強要しませんので御安心下さい」
(そ、そんな事・・・)
私は噴出しそうになった。
裸の男に言われても、信じられる筈はない。
(でも・・・)
「只、こうして側にいさせて頂けませんでしょうか」
異常すぎるシチュエーションとバカ丁寧な口調に、頭が混乱していく。
何だか逆らえない気分になってしまう。
「とても図々しいお願いとは思うのですが・・・」