第十一章 裏切り-20
(わたし・・・わた・・し・・・)
自分から求めていったんです。
閉じたまぶたに焼き付いた、夫の残像に見せつけるように。
(欲しいっ・・・ほし・・い・・・)
「あふぅ・・・んんふぅ・・んんんっ・・」
熱い息を吐きながら舌を絡ませていく。
「おお・・・おく・・・さ・・・」
目を大きく開いた男は、戸惑いながらも逞しい腕で更に強く抱き寄せてくれた。
(嬉しいっ・・・)
「あふっ・・んんっ・・あむぅ・・」
激しい息遣いで唇を重ねる二人。
「え・・・・えみ・・・・」
夫の声が聞こえる。
(いい気味・・・いい気味よ・・・)
私は心の中で繰り返しながら禁断の果実を貪っていた。
右手に握った熱いコックは決して放しはしない。
(放すものか・・・)
指の中でビクンビクンと痙攣している。
熱い感触が愛おしい。
そう、私は決めたの・・・。
この男を愛そう。
夫を奪った憎い女から奪い返してやる。
夫に、女に対する復讐が今、始まったんです。