第十一章 裏切り-13
「ああっ・・あああっ・・・
も、もう・・・・だめ・・・・だめだぁ」
今も裕君、絞り出すような声を漏らしている。
「んふっんふっ・・・んっんっ・・
んっんっ・・・」
女の顔が激しく上下に動いていく。
(ひ、ひどい・・・)
怒りと共に何かが破裂しそうな程、心の中に広がっていく。
コックを握る指に力を入れた。
「お・・おお・・・」
微かなうめき声と共に、ギュッと肩を抱いてくれた。
私、ゆっくりと指を動かしていったんです。
何かしてあげたい気分だったの。
(そう、この人だって・・・)
目の前でする妻の痴態に嫉妬していた筈だわ。
なのに、我慢して私を優しく抱いていてくれていた。
「おお・・・あ・・ああ・・・」
掠れた声が耳元に響く。
まるで私をいたわり、励ますように聞こえる。