第九章 予期せぬ出来事-8
「おやおや・・・」
中年男は私を見ながら首を振った。
イタズラっぽい表情に、つい私も釣られて唇を綻ばせてしまった。
後から考えると私、相当混乱していたのかもしれない。
だって、こんな危険な状況で逃げようという考えすら浮かばなかったのだから。
「本当に申し訳ない・・・」
男の人、そう言いながら肩を抱いた手で私を引き寄せたんです。
「あっ・・・」
よろめいた私は胸に寄りかかるように抱かれてしまった。
意外と筋肉質なのか、盛り上がった胸には妙に黒い色をした乳首が見えた。
「でも、凄く興奮するんですよ・・・」
熱い息が耳元にかかる。
「女房が見知らぬ男のペニスをくわえている・・・
何と淫靡な光景でしょうか」
肩を抱く手にギュッと力を込めてくる。
(確かに、興奮しているみたい・・・)
胸の鼓動がドクンドクンと聞こえる。
勿論、自分の心臓も同じだったけど。