第三章 抱擁-3
「んっ・・・」
そのまま唇を塞がれてしまった。
(キャッ・・・)
私、驚いて大きく目を開いていた。
裕君、激しく舌を絡ませてくる。
(い、いやぁ・・・だめぇ・・裕君・・・)
必死になって抵抗しようとしたけど、凄い勢いに圧倒されてしまう。
「んっ・・んふっ・・んん・・・」
何時しか私の手も夫の背中に廻り愛撫を受け止めていた。
(だ、だってぇ・・・)
気持ちいいんですもの。
こんな激しいキスは、結婚してから初めてのような気がするの。
私達、交際期間が長かったからトキメクような事が最近少なくなったみたい。
(だから・・・)
嬉しかった。
どんな形であれ、愛する旦那様にこんな激しいキスをされるのは。
「映見・・愛しているよ、映見・・・」
裕君が熱い息で囁いてくる。
私は嬉しくなってギュッと裕君の身体を抱きしめたの。
「私も・・裕君・・・」
暫く、隣の二人の事は忘れて私は夫との抱擁を楽しんでいたんです。
「ああっ・・ダメェ・・・」
でも裕君の手がスカートの中に入ろうとした瞬間、私は小さく叫んだ。
隣に聞こえたかもしれない。
恐る恐る見るとカーテンの向こうでは気づいていないのか互いの服を脱がせながら愛撫を続けている。
裕君の指がパンティーの中に入ってきた。
必死に抵抗するのだけど力ではかなわない。
「あうっ・・・」
敏感な場所を触るられた時、私は仰け反ってしまったんです。
「ああっ・・・あっ・・・あっ・・・」
自分の声に恥ずかしさがこみ上げてくる。
「凄い・・濡れてるよ・・・」
裕君、嬉しそうに囁いている。
隣の人を真似ているのかしら。
(ひ、ひどい・・・)
私は夫の行為に怒りを覚えた。
こんなAVビデオみたいないやらしい事をするなんて。
(で、でもぉ・・・)
電流が小刻みに体中を走るんです。
「ああっ・・あっ・・はっ・・・はあぁ」
息が荒くなってしまう。
(そ、そう・・・)
感じている。
悔しいけど、そうなの。
「気持ちいいっ・・もっと、もっとぉ・・・」
隣で叫ぶ女の声に自分の気持ちが重なってしまう。