第三章 抱擁-2
「す、すごい・・・」
頭の上で裕君のかすれた声がした。
ジッとカーテン越しに見つめている。
(いやらしい・・・)
私は心の中で呟いた。
この頃の裕君は嫌い。
エッチな本は人前で平気で読むし、私をこんな所に連れ出したりして。
優しくて素敵な私の旦那様はどこへいってしまったのだろう。
「あぐぅっ・・ああ、ああっー・・・」
女の声が一段と高くなった。
男の指がスカートの裾をまさぐっている。
「ふっふっふっ・・・」
低い声が響く。
「こんなに濡れて・・グッショリだ・・・」
「ああ・・い、いやぁ・・・」
「感じているのかい?」
「ああ・・そ、そう・・・
ああ・・もっとぉ・・・」
二人、凄く大胆になっている。
目の前にまるで私達がいる事なんか忘れて。
(ち、違うわ・・・)
そう、私達に聞こえるようにわざと大きな声を出しているんです。
「ああんっ・・いいっ・・・いいのぉ」
女の人、かなりスタイルがいいみたい。
広げられた足がスラリと長い。
めくれたスカートからパンティーが見えた。
その中で男の指が動いている。
「み、見られていると思うと・・・
凄く・・か、感じちゃうぅ」
「ヤ、ヤダァ・・・」
あからさまな言い方に私は思わず声を出してしまった。
裕君が私の顔を覗き込んできた。
真っ赤になっている顔、見られたかしら。