第二章 久しぶりのデート(画像付)-9
「で、出ようよ・・・裕君・・・」
甘えた声が首筋をくすぐる。
「あ、ああ・・・」
僕は躊躇していた。
夢にまで見ていたシチュエーションが今、現実になったのだ。
目の前に会ったこともない他人のカップルがいる。
彼等にも僕達の姿が見えている筈だ。
こんな興奮する事があるだろうか。
このまま帰ったんじゃあ、一生後悔するだろう。
映見の性格だと、二度と誘いには乗ってこない筈だから。
「ねえったらぁ・・・」
目の前にいる人達の手前、大きな声で言えないのか懇願するように囁いてくる。
「わ、わたし・・・」
映見の声を遮るように向かいの部屋のドアが開き、ウェイターが入ってきた。
カチャカチャと食器を置く音がする。
「では、ごゆっくり・・・」
彼が出たと同時にBGMが再び変わった。
『あんっ・・あんっ・・・んっんっんっんっ』
『おおおっ・・す、凄いっ・・・い、いいよぉ』
僕達は二人同時に顔を真っ赤にした。