第二章 久しぶりのデート(画像付)-8
怒りと共に立ち上がろうとした瞬間、目の前が急に明るくなった。
正確に言うと、黒いカーテンの向こう側に照明がついたのだ。
「キャッ・・・」
映見が小さく叫んだ。
それもその筈である。
カーテンの向こうが透けて見えているじゃないか。
メッシュの生地はこの部屋と同じレイアウトになっているソファーやテーブルをぼんやり浮かび上がらせていた。
何のことはない。
一つの部屋をシースルーのカーテンで区切っているだけじゃないか。
「こ、これじゃあ隣の人に丸見えじゃない・・・」
「あ、ああ・・・」
見上げる不安げな表情に、あいまいに頷いた。
雑誌の記事で前もって知ってはいたけど、いざ目の当たりにして僕もさすがに驚いていた。
ガチャリと音がすると人影が映った。
「では、ごゆっくり・・・」
ウェイターは僕達に言った同じ口調を繰り返し、去っていった。
「あら、嬉しい・・・先客がいらっしゃるわ」
女の囁く声が聞こえた。
「シッ・・・邪魔しちゃ悪いよ」
男の声が遮ると二つの影は重なりながら正面のソファーに座った。
クスクスと忍び笑う声が聞こえてくる。
店内のBGMは再び変わり、ロック音楽を流していた。