第一章 僕の独り言-7
こうなると彼女は頑固なんだ。
「あり得ないな・・・」
僕はジョッキの中で苦笑いをした。
「なぁに・・・?」
映見が訝しげに僕を見ている。
カァーと熱い血が駆け上ってくる。
「な、何でもないさ・・・」
僕は慌てて殆どビールが残っていないジョッキで飲むふりをした。
見つめてくる大きな瞳が小さな光を散乱させている。
僕は自分の想像に胸をドキドキさせながら曖昧な笑みを浮かべていた。
「変な、裕君・・・」
店の喧噪の中、妻の呟きが微かに聞こえた。