第一章 僕の独り言-6
お嬢様育ちの映見は極端な恥ずかしがり屋だ。
照明を消した状態でしか裸にもなってくれない。
体位も未だに正常位オンリーだし。
今時、信じられないって?
でも本当だからしようがない。
AVビデオなんてもってのほかさ。
この間、一緒に観て興奮しようと借りてきたけど怒って暫く口もきいてくれなかった。
そんな雰囲気が出来ちゃうと夫婦なんて却って、変わりにくくなるものかもしれない。
そう、たとえば。
世の中の夫婦で妻にフェラチオしてもらっている旦那様は、どれくらいいるのだろうか。
少なくとも僕でない事は確かだ。
他の奥さんはフェラチオしてるのかなぁ。
みんなどうやって説得したのだろうか。
イヤ、そうじゃない。
みんなだって苦労している筈さ。
じゃないとあれだけフーゾクが、はやるものか。
さすがにお金を出してまでして欲しくはないしなぁ。
それは半ば意地なのかもしれない。
一度でも妻にしてもらえれば、呪縛が解けるのかもしれないけど。
フェラチオ童貞は映見にあげるって決めているんだ。
でも、やっぱり無理だろうな。
僕の奥さんがそんな事する筈無いもの。
雑誌のエッチな記事を見てるだけで、文句を言う位なんだから。
このまま年食って、しょぼくれた中年夫婦になるのかなぁ。
そんなの、イヤダ!
妻以外の女とセックスをしたい。
絶対、誰かにフェエラチオしてもらうんだ。
でも、フーゾクはイヤダ。
今、僕はジレンマの中にいる。
じゃあ、どうすれば良い?
不倫でもするのか?
それはダメだ。
フェアじゃないし、バレたら離婚になっちゃう。
映見を愛しているし、別れたくはない。
それよりも、そう・・・・。
スワッピング!
僕はこの頃、妙にこのフレーズに取り憑かれている。
夫婦交換ならお互いフィフティ・フィフティだろ?
僕も浮気をするけど、妻もするんだ。
考えても見てよ。
愛する妻が他の男に抱かれる。
そんな想像をするだけで、もの凄く興奮する。
今、読んでいた雑誌の記事にも詳しく書いてあった。
僕達夫婦だって出来ない訳がない。
だけどビールを口に含みながら映見の顔見たとたん、僕の意気込みは消沈した。
まだ怒っているのか、ふくれっ面のまま横を向いている。