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女らしく
【コメディ 恋愛小説】

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女らしく【12】『潜入と調査と前編』-4

「監獄だな…此所は…」

窓には格子戸がはまり、校舎の周りには八角形に高さ10m程の塀が張り巡らされている。
もちろん乗り越えても警報が鳴り、最低でも5人常駐の警備員がすぐさま駆け付けて来る。

この仰々しい程のセキュリティーは外からはもちろんのこと、内側からも許可無く出ることは不可能に近い。

曰く『この地を去りたくば死ぬのが一番早い』と、こんなブラックな皮肉まで存在する。

「こんな環境じゃあな…」

言い寄って来る多くの女生徒を思い出す。

「マコトは男らしいから格好の餌食ですわね♪」
「ハハッ…勘弁してよ……」

コンコンッ…

扉が乾いた音を立て、来客が来たと知らせる。

「マコトお姉様いらっしゃいますかぁ?」

ギョッとして奏に目配せする。
けれど奏は涼しい顔で扉を開く。

「バレてますわよ」
「あちゃぁ…失敗か」

入ってきたのは髪を軽く編み込んだ女生徒。

「なんだよ…夢か…」
「えへへぇ…」

バツの悪そうな顔を作って苦笑いしているのは『鼎 夢』という此所で出来た最初の友達。
このオレは初めて会ったとき、とても縁起の良さそうな名前だと思った。。
叶え、夢だしな…

「何しに来たんだよ?見つかったら怒られるんだろ?」
「いいじゃん!ちょっと喋ろうよぉ♪それに怒られるんなら道連れだしぃ♪」
「オレはやましいことなんか無いぞ」
「じゃあ…そのポケットに入ってるもの見してもらおうかなぁ?」

ヒヤッとした感触が背筋をはい回る。

「知ってたのか…」
「アクセサリーの類いは没収だよね♪」

仕方なくポケットの中から楕円のペンダントを取り出す。微かに金属が擦れる音が鳴った。

「見して、貸して、触らしてぇ♪」
「嫌だ!」
「ワタクシも気になりますわ。アクセサリー類を好まないマコトが何でそのペンダントだけ肌身離さず持っているのか♪」

奏が黒い笑みを見せた…
奏さん…牙が見えてますけど…

「ほれっ!いただき♪」

奏に注意を向けている間に素早く夢がペンダントを奪い去る。

「や、やめろ!」

奏に押さえ付けられ、ペンダントは夢の為すがままにされている。


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