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女らしく
【コメディ 恋愛小説】

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女らしく【12】『潜入と調査と前編』-2

「なあ奏…これ何だか落ち着かねえよ…」

潜入初日。初めて履いたスカートなるものが異様に気になる。
学園は自由がモットーなのでみんな私服であり、オレはこの日初めて制服という物を着た。
藍色を基調としたブレザーで肩の辺りに白く十字架が入っている。

「我慢なさい。もうすぐクラスですわ」

奏は普段と何等変わりない気品で慣れた様に歩いていく。
やがて2−Aと書かれた教室前に立つ。中からは担任の説明と少しざわついた雰囲気が広い廊下まで流れ出ている。

「では、お入りなさい」

促され、ゆっくりと扉を開き教室内へと入っていく。
その中は約30名程のいかにも育ちが良さそうな女生徒が座っていた。

「自己紹介をお願いします」

修道服姿の厳格そうな女教師が淡々と進めていく。

「奏・V・ツェペシュですわ。皆さんよろしくお願い致します」
「初めまして、蘆屋マコトです。これからよろしくお願いします」

ニコリと愛想よく笑顔を見せる。
色めき立つ女生徒達。
ふと、誰かに似てると思った。
誰だろう?みんな顔は違うのに…

こうして潜入調査の実習が始まった。





「わ、私と付き合って下さい!!」

二階踊り場。目の前には小柄な少女が一人自らの手を握り締めて立っている。

「えっと…」
「わ、私…1−Bの杉野と言います…蘆屋先輩を一目見たときから憧れてました!」

今日で潜入四日目…
すでに告白された人数は二桁に…
こんなことしてる暇ねえんだけどなぁ…

「あのさ…悪いな…オレ好きな奴いるから」

その言葉に途端に青ざめ、頭を勢いよく上下させる。

「こ、こちらこそすみません!!あ、あの…好きになってくれなくても良いです!せめて…せめてお姉様と呼ばせて下さい!!!」

凄い勢いで詰め寄ってくる。後ろは窓…

「あ、ああ…」
「ありがとうございます!!マコトお姉様!」

仕方なく妥協すると満面の笑みを零して去っていく。と思ったら…


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