第七十七章 浄化-3
「う・・・・」
目を開けてみた。
眩しい。
視界が霞んでいる。
「ルナ・・・・」
暖かい手の感触が頬にあった。
「ディオン・・・」
愛おしい顔がそこにいた。
「気がついたかい・・・?」
「ディオン・・・」
温もりを逃さぬようにルナは自分の指を添えた。
硬く逞しい指が嬉しかった。
「あな・・・た・・・」
か細い声が、くすぐったく絡みついた。
「ルナ・・・・」
男は何度も囁いた。
愛おしい人の名を。
「あなた・・・・」
ルナの長い睫毛が揺れた。
涙が一筋、頬を伝った。
絡めあう二人の指に消えていく。
ルナの視界が再び曇っていった。