第七十七章 浄化-2
だが、今は違う。
全ては無の如く静寂が支配していた。
こんな安らかな気持は初めてだった。
いや、そうではない。
暖かい光がボンヤリと感じる。
昔そう、まだ幼かった頃。
感覚が徐々に戻ってくる。
(お母・・・様・・・・)
その名を呟いた。
ルナの口元が微かに笑みを浮かべた。
(ル・・・ナ・・・)
懐かしい声が聞こえた。
何もかも全てを包んでくれる気がした。
(ル・・・ナ・・・・)
美しいソプラノの声と共に、優しい母の顔が浮かんだ。
ルナの大好きな人だ。
(ル・・・ナ・・・)
その人も笑みを浮かべていた。
「ルナ・・・ルナ・・・」
声が近い。
闇が晴れていく。
「ルナ・・・・・」
優しい囁きがルナを呼んでいる。