第七十六章 雷(いかづち)-1
第七十六章 雷(いかづち)
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祭壇に横たわっていたルナの瞳が薄っすらと開いた。
薄闇に金色の光がともる。
過去の記憶から戻されたルナは、薄れゆく意識の中で全てを悟った。
不条理な過去の事実と共に、母と自分に課せられた運命の糸を。
「そ、そんな・・ひどい・・・」
全ては悪魔の企みだったのである。
優しかった母の顔が浮かぶ。
ルナの心に「あの時」の淫靡な光景が蘇る。
アズート司教に犯される母。
愛するディオンと交わり、笑みを零していた母。
そして、自分の痴態。
心の底から喜びの声を上げながら、アズート司教に犯され続けていたのだ。
埃まみれの祭壇に立ちアズート司教の血の染みの跡を見ている内に、あの時の息遣いがリアルに蘇るルナであった。
『いいっ、いいのぉ・・・司教様ぁ・・・』
強烈な快感が目眩と共にルナを襲う。
ルナの耳に死んだ筈のアズート司教の声が聞こえてくる。
『ウハハハハハ・・・・ルナよ。お前は、俺の呪いから逃れる事は決して出来はしないのだ』
「そ、そんな・・・ウソッ・・ウソよ」
霞み瞳に涙が滲む。
快感が思考を溶かしていく。
誰もいない教会の祭壇で、ルナは逃れられない事実を噛みしめるのだった。