第七十五章 後悔と絶望-1
第七十五章 後悔と絶望
血塗られた祭壇には地獄の狂宴の後が生々しく残っていた。
いつまでも泣き止まぬルナの肩に、ディオンがそっと手を置いた。
「ルナ・・・」
ルナはその優しい微笑みに更に顔を崩すと、その胸に飛び込んでいった。
「ううう、ああ・・あああー・・・」
忌まわしい記憶が容赦なくルナを襲う。
こうして抱かれている愛する男の前で、司教に犯されたのだ。
しかも自分から腰を使って嬉しそうに喜びの声を上げていた。
ディオンもそうだった。
愛する恋人の目の前で事もあろうに、ルナの母であるマチルダ王妃と交わったのだ。
自分のものを咥えさせ、王妃の蜜に舌を這わせ美味しそうに味わったのだ。
この罪の記憶は一生、消えないであろう。
あれ程の苦難に立向かった二人の愛だったのに。
いくらアズートの術におとしめられたとはいえ、残酷過ぎる記憶であった。