第七十五章 後悔と絶望-2
それでも二人は顔を向かい合わせると、互いの名を心で呼んだ。
(ディオン・・・)
(ルナ・・・)
そして唇を重ねると、激しく舌を絡め合った。
(あああ・・ディオン、愛しています)
(僕もだよ、ルナ・・・愛している)
幽玄の時が流れていく。
真実の愛がそこにはあった。
悪魔の血に汚された二人の身体が金色に包まれていく。
二人は顔を離すと互いの瞳を見つめて微笑んだ。
そしてディオンが優しく言った。
「一緒に死のう・・ルナ・・・」
ルナは天使の笑みを浮かべて頷いた。
こうするより他に二人の幸せはないだろう。
ふと見ると、黒々としていたディオンの髪が真っ白になっていた。
アズートの呪いは本当だったのだ。
すると・・・やはり、自分の中には悪魔の呪いが植え付けられたのだ。
ルナは、そう確信した。
(ウハハハハ・・その通りじゃ・・・)
「ええっ・・・?」
二人の頭の中におぞましい声が響いた。
アズートの声であった。