第七十四章 断末魔-2
「ああっ・・お、お母様・・・?」
「お、王妃様っ・・・」
アズートの術が解け、気が付いたルナとディオンは信じられぬように見ていた。
大トカゲごと倒れたマチルダを、ディオンは剣でアズートの蛇達を払いながら助け起こした。
「お母様っ、お母様ぁー・・・」
ルナが必死に母の身体にすがっている。
大トカゲは仰向けに倒れて動かない。
「お母様っ・・・しっかりして・・・」
まだ痺れるルナの頭の中は、母への思いで一杯であった。
「ルナッ・・とどめを・・・」
母の言葉に記憶が徐々に蘇ってきた。
アズートの催眠術も消えていた。
「ハ、ハイッ・・・」
ルナは頷くと、ディオンと共に大トカゲの腹から聖剣を抜き、夢中で胸に突き刺した。
「ウウギャアアアアー・・・」
最後の叫びを上げると、アズートだった大トカゲは見る見る内に泡となって消えていった。
血まみれになった顔を振向かせると、母が苦しそうにしていた。