第四章 ヤスミンの敵はヤスミン-5
「おお絶景……これは眼福の極みよ」
かすれ声で感想をのべながら、脱がせたばかりのパンティを頭領の覆面に包まれた顔に近づけ、クンクンと鼻を鳴らす。
さらに覆面に隠されていた、中年男らしいヒゲの剃りあとの濃い口元が現れ、舌先で下着の股ぐりに付着した姫の体液の味と匂い、かすかに香る尿臭までも味わってみせた。
「うむ……甘露、甘露よ…………しかしこれは、処女のうちに、新鮮なままを味わうべきだ」
頭領はなめつくした下着を捨てて、姫の両ひざに手をかけ開かせると、
「どれ……?」
下卑た欲望に満ちた男の顔が、姫の秘所にくちづけてくる。
ヒゲのチクチクしたアゴを尻穴に押し当てられるおぞましさとともに、熱いくちびるが秘所に吸い付き、舌先を這わせられてしまう。
「ああ、そんなところ……アアン」
荒い鼻息が、薄い恥毛を吹き荒らす。
「ああ、アン………おかしくなります………わたくし、おかしくなってしまいます……ああ、アア」
淫らな官能の嵐に、ヤスミン姫の正常な思考も吹き荒らされてゆく。
やがてぐったりチカラの抜けた姫から顔を離した頭領は口元をぬぐい、
「これだけ濡れれば痛みも少なかろう」
上体を起こすと、ポタポタと先走りをしたたらせた赤黒い肉刀を、濡れそぼった姫にあてがった。
「アッ……あああッ!!!」
異物に刺し貫かれる恐怖と、破瓜の痛みとがそうさせたのか、ヤスミン姫は両腕をタタリ頭領の太い首を抱きしめるようにしがみついて、泣き叫ぶのだった。
「アア……いや、ああ……あっ……イヤぁ……」
「良いぞ……良いぞ姫君、御身の処女は具合が良いぞ……」
自慢の肉刀に絡みつくあたたかな処女をじっくり味わうおうと、深く差し込んだソレを引き抜こうと、頭領が腰を引いた時だ。
「あたしも良かったわ、忍者さん?」
頭領を抱きしめた姫が、耳元でささやく。
「なに?……ひ、姫お前まさか姫では……」
あわてて身を離そうとした頭領の言葉が終わらぬうちに。
パシュッ。
頭領の背負っていた忍者刀、ウォーターサーベルが引き抜かれ、水流の刃が彼のこめかみを右から左に刺し貫いていた。
「……こんなに軽くて具合の良い武器があって、本当に良かったわ、忍者サン?」
即死した頭領を押しのけて立ち上がると、顔の下半分をおおっていたガラベーヤの布を外して、ウインクしてみせる。
「み、峰……峰不二子ッ!!!」
スピーカー越しの老人の声がその名を叫んだ。
ガラベーヤで飛び散った脳漿をぬぐいながら微笑む、グラマラスな肢体を惜しげも無くさらけ出した美女。
ヤスミン姫に化けていた、謎の女。
峰不二子その人であった。