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受験生へ
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受験生へ-1

苛立ち、藻掻き、不眠症。きみの目が何かを訴えかけている。 
きれいに言えば、登竜門。レールの敷かれた道での初めてのリスクを背負った闘い。
何のために? 
親のエゴか見栄のためかと溜め息をつく。 

例えるなら
君は今真っ暗な洞窟の中で出口を捜している。 
目の前には沢山の穴穴穴。正解を君は知らない。 
だからこそ 
自分で選べばいいのに…
何かの引力に引っ張られるかのように安易な道を選ぼうとしている。 

それは皆が行くから?
ひとりは不安かい?

ぼくの声は届いているか? 
君の精神状態は疲れの蓄積とともに悪化していくばかり。 
闘いたくない。 
どうせできっこない。 
君は弱音を吐き出す。 
この洞窟からの逃げ道を捜しているんだね。 

逃げ道があるとしたら君は逃げ出すのだろうか? 

君は逃げない! 
ぼくはそう信じている。 
世界は廻る。 
今君はいる場所も永遠ではないんだ。 
フィールドが広がることは未知への冒険。 

桜とともにたくさんのことが君を待っている。 
君を大人にしてくれる。
そこでの涙も笑顔も汗も君の到来を待っている。 

君が何かを得て何かを失う時に気付くだろう。 
正しい選択だったのか。 
痛みと重圧を乗り切って君の目で確認してほしい。体感してほしい。味わってほしい。 

今の君には見えない今の世界のドアの向こう側を。

だからこそ君に言う。 
今のままでいいのかい? 
ほしかったら奪い取りにいけ。 

この勝負に勝つために大切なのは心だよって。 

そして覚えておいてほしい。 
君のために犠牲になる者、涙を流す者、勝負に敗れた者たちの行き場のない感情を。 

だから君は一歩ずつ踏みしめながらこのドアを開いて新しい世界を体感してほしい。 

願わくばその世界で君が敗北の涙を流さず済むようにぼくはここで祈っているから。 

道に迷ったら思い出して。君の中の声に耳を向けてほしい。
耳を澄ませば聞こえてくるはずだから。

風が止んだ。
さぁ時間だ。 
顔を上げて。


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