『洋蘭に魅せられたM犬の俺』-6
隠しておくべき女膣が生々しく覗いていた。その花弁のような左右の秘唇にプラチナ製の大きなリングのピアスが嵌められている。
左右のピアスリングがぶつかって、チャリリン、リンと音を奏でている。
「普通の生活ですか……でも、昔のような仮面の生活に戻るなんて、わたしにはもう無理です」
俺は自分の吐き出した言葉に自分でも驚いた。
ずっと自分の本性を仮面の下に隠して生きてきたような気がしていた。
「女のあたしですら、ハマったの……あんたなんか、ゴミ屑以下にされるわよ」
麗様が猛毒を持った毒蜘蛛か妖術を使う悪魔だとでも言いたいらしい。
「麗様にお会いしたら終わりよ。今なら、まだ引き返せるわ」
最後通告するような口調でメイドが声をひそめて言った。
「わたしは麗様の蜜の香りをもう吸ってしまったんです。一カ月も前に」
俺の心が揺れることは微塵もなかった。
メイドが手に隠し持っていた首環と鎖に気付いて、俺はそれに鼻先を押し当てた。
「それは麗様が用意して下さった、わたしのための首環ですよね」
なぜかそんな確信があって、首を長く伸ばし、首環を嵌めてもらうのを待った。
「うふっ、なんて愚かなの……でも一応、合格よ。あんたに迷いは無さそうね。いいわ。好きなだけ、情けない奴隷犬になりなさいな」
メイドはどうやら麗様に言われて、俺の性根を験していたみたいだ。
合格と言われ、メイドから褒められた気がしてひどく嬉しかった。
太くて頑丈な鋼鉄製の首環が俺の首に嵌められた。
赤いリボンの飾りが付いている首環のサイズは俺の首にぴったりだ。
首がきつく絞まる。
そしてガチャッと冷たい音がして、ずっしりと重い南京錠が掛けられた。
「この南京錠を外す鍵はどこにも無いの。この鋼の首環は二度と外せないからね」
メイドの目はもう俺を人間としては見ていなかった。
ジャラッと太くて重い鎖が鳴って、メイドは俺の首を乱暴に引き寄せた。
「ああっ……こんな犬の格好で、麗様にお目にかかるんですか?」
俺の鼻先がメイドの恥毛に触れていた。その奥で揺れるピアスリングの音を聞きながら俺は訊ねた。
「まだだよ。おまえなんか、まだ麗様の前に出る資格などないわ」
メイドの声が更に冷ややかになった。
まるで俺を卑しい虫けらのように思っているのは明らかだった。