『洋蘭に魅せられたM犬の俺』-13
(8)
麗様のおそばに置いて頂かないと生きていけない……俺の想いはほとんど確信に変わっていた。
「卑しいポチの望むことなんて、わたしにはすべてお見通しよ……うふっ。でもキスだけで女のように何度もイクなんて。あさましいわっ」
麗様は呆れ果てたという貌をなさって、アへ顏の俺を見下ろしておられた。
イキっぱなしになっている淫らな俺のことを軽蔑なさったのか。
「うふっ。こんなこともしてあげるわね。ペッ……プュッ、ぺッ」
突然俺の顔面に向けて甘い唾液をつぶてのように何度も吐きかけて下さった。
(あはっ……嬉しいっ)
マゾ犬が天にも昇る痺悦に狂うことを麗様はご存知だった。
どうして顔面に唾を吐かれて嬉しいのか、マゾ犬にしかわからない倒錯の快美だ。虫けらのように冷酷に扱われることで、麗様のことを更に深く愛おしく想う。マゾの証だ。
俺は狂おしい喜悦に悶えた。
「ふあああっ……あああっ、いいーっ」
爛れきった脳髄が麗様に吐きかけられたつぶてのような唾液のせいでまたもや大爆発を起こした。
「わたしに唾を吐きかけられるのが、そんなにいいの?」
赤いリボンで縛られた怒張の根元で壮絶な勢いのマグマが逆流していた。
「うぐぐっ。死んじゃううっ」
四度、五度と甘美な唾を吐きかけられ、俺は白目を剥いて吼えた。
吼えながら海老ゾリになった身体が石のように硬直した。
「連続して牝イキするなんて、ポチは牝になりたい根っからの変態ね」
麗様の蔑むような囁きに意識がぶっ飛んでしまう絶頂の向こう側まで飛翔した。
数秒間、絶頂狂いした女のように失神していた。
意識が戻っても、麗様は容赦がなかった。
「わたしには言えるでしょ。ポチはわたしに隷属する女になりたいって」
「ああっ……恥ずかしいっ」
「子宮の底から声を出して叫んでご覧。執事もあそこで聞いていてくれるわ」
「嫌あっ……ああっ」
俺は女になりたかった。女に憧れている。女は生命の泉だ。女は美しい。かしずくべきは美しい女だ。淫蕩で上品で優雅な女が羨ましくてならない。叶わぬ願望だが蘭の花弁のような淫らなオマンコが自分の股間に欲しい。
でもそんなことはずっと言えなかった。
麗様のご命令なら吐き出すことが出来る。
ああっ。自分を偽って男らしくしているなんてもう嫌。我慢できない。
「ポチは女に生まれ変わるのよ」
「あああっ、麗様っ。ポチを卑しい女にして下さいっ。こんな醜い女ですが、麗様に誠心誠意お仕えします。ポチをメス犬の奴隷にして、いつまでも飼って下さいっ」
俺は狂ったように叫んでいた。
二度とオスの発情も射精も無くていいと思った。
「醜い変態ね」
麗様の股間を覆っていた漆黒の紐ショーツが、俺の顔面に舞い降りた。
「うふっ、ゴミ屑のような変態のメス犬っ」
顔面を覆うショーツと麗様の声が俺の脳髄を破壊し尽くした。
「あああっ、死にますっ。ポチは幸せですうっ……ううっ」
二度目の深い失神に堕ちた。
昏い混濁の海をさまよった後、俺が息を吹き返した時には、なんと麗様は俺の顔面に馬乗りになって、馨しく濡れそぼった女膣を擦りつけておられた。
失神から醒めたばかりなのに、麗様に淫らな顔面騎乗をされて、もう死んでもいいくらい幸せだと本心から思った。
滑らかな感触の女膣が俺の目と鼻を押し潰し、ヒクヒクと蠢いた。
文字通り尻に敷かれた状態で、魂まで吸い込まれそうな膣肉に俺は舌を伸ばそうとしてもがいた。
「舐めたい?」
麗様は冷たい手で俺の赤黒く変色した怒張を握りしめながらおっしゃった。すでにマグマの突き上げでコーラ瓶のようにパンパンに膨張している。
「ふああっ。ううっ、はうううっ」
返事するより早く、俺の口腔はねっとりとした吸盤のような女膣で塞がれた。ぴったりと吸い付いたまま離れないで、微妙に膣穴が蠢いた。