『洋蘭に魅せられたM犬の俺』-12
「麗様にオモチャにされるのが、たまりませんっ」
「目をもっとしっかり開けて、舌をいっぱいに出したままよ」
「ああっ、いいですっ」
顔面を嬲られながら、怒張がビンビンに反応して下腹を太鼓のように叩いた。
「これはどお?」
頭上で麗様の麗しい口唇が大きく開いた。
(ああっ、す、凄いっ)
麗様の官能の色を帯びた妖しい表情に吸い込まれそうになる。
エロスの女神だと思った。
開いた口唇から溢れ出した唾液が滝のように垂れ、俺の額と頬に落ちた。
馨しい愛の雫だ。
「あ、ああっ……ポチの口にもいっぱい下さいっ」
俺は一杯に大きく口を開いて、舌をもっとだらしなく伸ばした。
そこへ麗様の口唇と舌が被さってきた。
(ああっ、死んじゃいそおっ)
凄まじい歓喜の嵐に見舞われ、背中が浮き上がった。
ベロリと長い蛇のような舌で舐めあげられた。
(はあああっ……イクっ。こんな素敵なキス、たまん、ないっ)
俺は腰を激しく震わせながらイッた。
間違いなくイッたはずだった。
だが、劣情のマグマの噴出だけは赤いリボンで堰き止められていた。
なおも吐息を噴き零しながら舌を絡ませあい、貪りあった。
脳髄が火花を放って猛烈な破裂を起こしていた。
(あああっ、またイクのっ……イッちゃう、うっ)
自然に大粒の涙が噴きこぼれ、愉悦の凄まじさを証明していた。
女のような連続した絶頂がつづいた。
身も心もどこか遠くまで飛んでいた。
オスは交尾で射精を終えると急速に陶酔から冷めるためのホルモンを分泌する。受精したばかりのメスを外敵から守る防御にすぐさま入る必要がある動物の本能の名残りだ。
だが射精しなければ、深い陶酔に長く浸っていたい俺を妨げるものは何もない。
信じられないほど長い時間、愉悦の世界をさまよった。
「あああっ、麗様っ。イ、イクーっ」
麗様への崇敬と恋慕の情が何度も何度も爆発を繰り返した。