『洋蘭に魅せられたM犬の俺』-11
「ああ、あっ……麗様、もう我慢出来そうにありませんっ」
俺の肉茎はあれから三週間も劣情を溜め込んでいた。
奴隷犬として飼って下さっている麗様を犯したいなどとは露ほどにも思わない。畏れ多いことだ。だが、滑らかな光沢の裸体を眺めているだけで、すぐにも噴きあげそうな気配が這い上ってきて、俺を身悶えさせた。
「駄目っ。今夜は射精禁止よ。ポチが一度でも放出したら、それで終わりにしますからね」
「そ、そんなっ……」
「オスなら射精したがるけれど、ポチは女になりたいんじゃないの」
「で、でも……勝手に出ちゃうんですっ」
「大丈夫。今からザーメンを出せないようにオチンポの根元を縛ってあげます。うふっ、ポチは女のように長く感じたいんだものね」
麗様は時に優しく、時に淫らに、時に魔性の女にと七変化する。
その圧倒的な魅惑のオーラを放つ姿に眩惑させられる。
俺を奴隷以下の虜にする蜜の香りだ。
男でも女でも麗様を知れば破滅するしかないとメイドが言っていた禁断の蜜だ。
「チンチンよ、ポチ。わかるわね」
訓練された犬ならチンチンと言われればすぐにわかる。
俺は大急ぎで犬のチンチンのポーズになって、いきり立つ勃起を麗様の目の前に突き出した。
「いい子ね、ポチは」
麗様は俺の射精寸前の男根を用心深く握りしめ、その根元を真っ赤なリボンでグルグル巻きにされた。
赤い飾りを付けたシッポのようだ。
「ううっ。なんだか去勢されたような気がします……すごく嬉しいですっ」
男なら普通では言えないような恥ずかしい台詞を俺は吐き出した。
男でなくなった気がして、全身がムズムズと女のように疼きだしていた。
肉茎の根元を縛られ、萎えることはないが射精も出来ない。それを去勢と言ったのは、俺の密かな願望の表れだろう。
リボンで飾られた肉茎をビクンビクン震わせながら、羽織っておられる透明なガウンを麗様がお脱ぎになるのをじっと見惚れていた。
「ポチにもっと素敵なご褒美よ」
麗様は右脚をベッドの端から俺の目の前に差し出された。
ふくよかなラインを描く美しいおみ脚の爪先が俺の鼻先に触れた。
「ああっ、狂いそうになるほど素敵ですっ」
俺はその官能美あふれる美脚に思わず頬擦りしながら、女神様が授けて下さったおみ脚として崇めたい心境だった。
「五本の指を丁寧にお舐め」
足指の一本一本が俺には貴重な宝物、大切な性器のように思われた。
丹念に心を込め、奴隷犬らしく口唇と舌を使ってしゃぶりぬいた。
もちろん手は一切使わない。
「嫌らしいのね」
足の指二本を口に含んでフェラチオのように嫌らしく顏を前後させていると、麗様にからかわれた。
麗様のおみ脚の指で、俺は口腔を犯されているのだ。
口腔は俺のオマンコ。
麗様の足指がくすぐったいのか、俺の口腔の中で激しく暴れた。
(ああ、犯されるのって、いいっ……もっと犯されていたいっ)
頭が空っぽになるような恍惚に俺はいつまでも浸っていた。
「今度はこちらの脚ね」
まだ足首から上はおあずけだ。
俺は麗様の左の足指にも同じように丹念なご奉仕をして、その夢のような世界に酔い痴れていた。
脳髄が高熱を発して、蕩けきっている。
蘭の花の甘い蜜を吸ってまわっている虫のような陶酔と恍惚感に落ちていた。
「ポチもベッドに上がってらっしゃい」
そう優しく言われた時には心臓が止まるかと思った。
ベッドに這いあがると、麗様と並んで仰向けに寝るように言われた。
「ポチはじっとしてるだけ。両手を縛ってあげる……今度はわたしのすることに感じて、いい声で哭くのよ」
頭上で両手首を重ね、肉茎と同じ真っ赤なリボンで縛られた。
「ポチはわたしのマゾ犬になりたいのよね」
麗様の目が淫らな光を放って、俺の目を見据えた。
麗様の甘い息が俺の顏に降りかかる。
「ああっ。そ、そうです。卑しいマゾ犬のポチをいっぱい辱めて下さいっ」
俺は昇天しそうな愉悦に突き上げられながら吼えたてた。
「なんて嫌らしいオチンポかしら……でも今夜はポチの卑しい顏だけを使うのよ」
麗様の手が俺の顏面をぐちゃぐちゃに揉みたて、醜く歪んだ貌に変えた。
顏面を嬲られ、人格を蹂躙されている感覚がたまらない。
とうに捨てたはずの人格やプライドだが、顔面嬲りはその思いを更に深くする。