第五十八章 蘇る悪夢-2
『お母様・・・ディオン・・・・』
アズートの策略に掛かったルナ達は、地獄の狂宴を繰り広げる事になるのだ。
『んん、ふ・・・ぅ・・ディオン・・・』
『ああ・・おお・・・王妃様・・・』
母と自分の恋人が抱き合い、互いの唇を貪っていた。
(ど、どうして・・何故・・・?)
呆然と見つめるルナに、アズートの妖術が一瞬にして心の隙間を捕らえた。
『返事をするのだ、ルナ・・・』
『ハ・・イ、司教様・・・』
操られたルナの声が唇から漏れた。
ルナの瞳が金色から灰色に変わっていく。
横たわるルナの瞳も同じ色に染まる。
再現される忌まわしい悪夢に向かって、ルナは身も心も捕らわれていく。
逆らうことはできない。
過去の記憶をなぞり、もう一度アズートに凌辱されてしまうまで。
張り裂けそうな想いを抱き、ルナは「あの時」へ旅立って行くのだった。